
TADORU CAMPUS / 無料の道具
読めない一文字で、止まらないために。
明治や大正の戸籍は毛筆の手書きです。崩し字、旧字体、いまは使われない仮名が混じります。ただ、書式が決まっているので、どの欄かが分かれば候補は数十語に絞れます。その表です。
この道具は、文字を読み取りません。候補を並べるだけです。選ぶのはご自身です。
自動で読み取る仕組みにしなかったのには、理由があります。機械は自信がないときでも何かを答えます。家系の記録でそれをすると、誤った読みがそのまま記録になり、あとから見分けがつかなくなります。
候補を並べる形なら、「どれでもない」を選べます。読めなかった字は読めないまま残しておくのが、あとで別の資料と突き合わせるときにいちばん役に立ちます。
入力していただいたものも、お選びいただいた画像も、当協会へは送られません。すべてお使いの端末のなかで処理されます。このページには、送る仕組みそのものがありません。
まず、見えるようにする
役所の写しは、たいてい薄い。
原本を複写したものが交付されるため、墨が薄かったり、逆に潰れていたりします。読む前に、見え方を変えてみてください。濃さを引き伸ばすだけで読めるようになることが、よくあります。
選んだ画像は、お使いの端末のなかだけで処理されます。 どこへも送信されません。 このページには画像を送る仕組みがなく、保存もしません。閉じれば残りません。
はじめに
手元のものが、どの様式か。
戸籍は時期によって書式が変わっています。どれかが分かると、どの欄に何が書いてあるかが決まります。見分ける手がかりを添えました。
明治5年式(壬申戸籍)
明治5年(1872)〜明治19年手元に届くことはありません
昭和43年(1968)の法務省の通達により閲覧が禁じられ、回収・封印されました。族称や身分に関する記載があり、就職や結婚の場面で差別に使われたためです。現在は取り寄せられません。戸籍でたどれる範囲は、次の明治19年式までが上限になります。
明治19年式
明治19年(1886)〜明治31年見分け方:「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」の欄がない
いま取り寄せられる、いちばん古い戸籍です。戸主を中心に家単位で編製されています。江戸期に生まれた人が載っていることがあり、その場合は慶応・元治といった幕末の元号が出てきます。士族・平民などの族称欄がありましたが、現在の交付では黒塗りされます。
明治31年式
明治31年(1898)〜大正4年見分け方:「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄がある
民法の家制度を反映した最初の様式です。この様式にしかない「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」の欄があるので、見分けやすい様式です。誰がいつ、どんな理由で戸主になったかがこの欄に書かれます。
大正4年式
大正4年(1915)〜昭和22年見分け方:戸主の欄はあるが「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」の欄がない
家制度のもとでの最後の様式です。明治31年式にあった「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」の欄が廃止され、その内容は戸主自身の事項欄に書かれるようになりました。相続の手続きでよく登場します。
昭和23年式
昭和23年(1948)〜平成6年見分け方:「戸主」ではなく「筆頭者」、「戸籍事項欄」がある
家単位から夫婦単位に変わりました。戸主が筆頭者になり、戸籍に入るのは夫婦と未婚の子までになります。手書きのものと活字のものが混在します。
平成6年式
平成6年(1994)〜見分け方:横書きの活字
コンピュータ化された様式です。横書きの活字なので、読み取りで困ることはありません。
欄ごとの候補
どの欄かが分かれば、候補は絞れます。
一文字ずつ字形から当てるより、位置から絞るほうが早く着きます。読めない字がどの欄にあるかを見て、下の候補と見比べてください。
続柄
戸主(昭和23年式以降は筆頭者)から見た関係。名前の右上か、名前の欄の直前に書かれます。
- 戸主
- 妻
- 長男
- 二男
- 三男
- 四男
- 長女
- 二女
- 三女
- 四女
- 父
- 母
- 祖父
- 祖母
- 兄
- 弟
- 姉
- 妹
- 孫
- 養子
- 養女
- 甥
- 姪
- 叔父
- 叔母
- 伯父
- 伯母
- 嫡子
「次男」ではなく「二男」、「次女」ではなく「二女」と書きます。読めた字が「次」に見えても、まず「二」を疑ってください。なお、親が再婚した場合、あとの婚姻での子はふたたび「長男」「長女」から数え直されます。同じ戸籍に「長男」が2人いても誤記とは限りません。
事由(身分事項)
その人に何が起きたか。日付とセットで書かれます。ここが読めると、次にどの戸籍を追えばよいかが決まります。
- 出生
- 死亡
- 婚姻
- 離婚
- 養子縁組
- 養子離縁
- 認知
- 分家
- 廃家
- 絶家
- 一家創立
- 家督相続
- 隠居
- 入夫婚姻
- 婿養子縁組
- 転籍
- 入籍
- 除籍
- 復籍
- 失踪宣告
「分家」「転籍」「入籍」は、その人が別の戸籍へ移ったことを示します。たどる先が変わる合図なので、見落とさないでください。
元号
日付の頭に来ます。明治19年式には江戸期に生まれた人が載ることがあり、その場合は幕末の元号が出ます。
- 天保
- 弘化
- 嘉永
- 安政
- 万延
- 文久
- 元治
- 慶応
- 明治
- 大正
- 昭和
- 平成
- 令和
数字
年月日と番地に出ます。普通の漢数字のほかに、書き換えを防ぐための大字(だいじ)と、二十・三十をまとめた字が使われます。
- 一
- 二
- 三
- 四
- 五
- 六
- 七
- 八
- 九
- 十
- 壱
- 弐
- 参
- 肆
- 伍
- 陸
- 漆
- 捌
- 玖
- 拾
- 廿
- 卅
「廿」は二十、「卅」は三十です。「廿五日」は二十五日。日付でよく出るうえ、知らないとまず読めない字なので、先に覚えておくと楽になります。
変体仮名と元号
名前が読めない原因の多くは、仮名です。
いまの五十音にない仮名が使われています。「た」を「多」の崩しで、「し」を「志」の崩しで書く類で、女性のお名前でとくによく出ます。
崩された仮名が、どの漢字を崩したものかの見当がついたら、その漢字を入れてください。何と読む仮名かが出ます。現代のひらがなを入れれば、逆にその仮名の字母が出ます。
元号から西暦を出す
戸籍の日付は元号で書かれています。何年前のことかを掴むために使ってください。
一覧
変体仮名の字母、全部。
現代のひらがな47字に対応する274字ぶんの字母です。崩された仮名を前にしたとき、もとの漢字の形が手がかりになります。
- あ
- 安・愛・阿
- い
- 以・伊・意・移
- う
- 宇・憂・有・雲
- え
- 盈・縁・衣・要
- お
- 於・隱
- か
- 佳・加・可・嘉・我・歟・賀・閑・香・駕
- き
- 喜・幾・支・木・祈・貴・起
- く
- 久・九・供・倶・具・求
- け
- 介・希・氣・計・遣
- こ
- 古・故・許
- さ
- 乍・佐・左・差・散・斜・沙
- し
- 之・事・四・志・新
- す
- 受・壽・數・春・須
- せ
- 世・勢・聲
- そ
- 所・曾・楚・蘇・處
- た
- 堂・多・當
- ち
- 千・地・智・知・致・遲
- つ
- 川・津・都
- て
- 亭・低・傳・天・帝・弖・轉
- と
- 土・度・東・登・砥
- な
- 南・名・奈・菜・那・難
- に
- 丹・二・仁・兒・爾・耳
- ぬ
- 努・奴・怒
- ね
- 年・根・熱・禰
- の
- 乃・濃・能・農
- は
- 八・半・婆・波・盤・破・者・葉・頗
- ひ
- 悲・日・比・避・非・飛
- ふ
- 不・婦・布
- へ
- 倍・弊・遍・邊・部
- ほ
- 保・報・奉・寶・本・豐
- ま
- 万・末・滿・萬・麻
- み
- 三・微・美・見・身
- む
- 武・無・牟・舞
- め
- 免・面
- も
- 母・毛・茂・裳
- や
- 也・屋・耶
- ゆ
- 游・由・遊
- よ
- 代・余・與・餘
- ら
- 羅・良
- り
- 利・李・梨・理・里・離
- る
- 流・留・累・類
- れ
- 禮・連・麗
- ろ
- 呂・婁・樓・路・露
- わ
- 倭・和・王
- ゐ
- 井・居・爲・遺
- ゑ
- 惠・衞
- を
- 乎・尾・緒・越・遠
字母は Unicode の変体仮名(U+1B002〜U+1B11E)の定義から機械的に取り出したものです。2字分をまとめた合字は、お名前の読み取りに使わないため除いています。
それでも読めないとき
埋めずに、残してください。
読めない字を推測で埋めると、そこから先の家系がまるごとずれます。判読不能は判読不能のまま書き留めておくのが、いちばん安全です。
窓口で尋ねる
その戸籍を発行した市区町村の窓口が、いちばん確実です。担当の方は古い戸籍を読み慣れています。
字形を照らし合わせる
奈良文化財研究所と東京大学史料編纂所が「MOJIZO」という仕組みを公開しています。文字の画像から、形の似た字を探せます。
ただし、画像を送って調べる仕組みです。戸籍そのものを写した画像は、外部のサービスに送らないでください。ご自身とご家族以外の個人情報が含まれています。どうしても使うときは、読めない一文字だけを切り出し、名前や本籍が写り込んでいないことを確かめてからにしてください。
読めないまま、書き留める
当協会が公開している記録の標準形式では、判読できなかった箇所を「判読不能」として残すことにしています。原本の写しを必ず添えておけば、あとから読み直せます。
読み方の先に、たどり方があります。
どこの窓口に何を出すか、どの戸籍から次のどれへ移るか。順を追って学べる講座を開いています。