墓じまい記録
石は、なくなる。文字は、残せる。
墓石に刻まれた名前は、撤去された時点で読めなくなります。多くは戸籍がさかのぼれる限界より前の世代です。撤去の前に記録し、この法人が永久に保管します。
当協会は、墓じまいの是非について立場を取りません。決めた方の判断を、記録という形で支える立場です。
継ぐ人がいない。遠方で通えない。費用の見通しが立たない。墓じまいに至る事情はさまざまで、そこに優劣はありません。続けるべきだとも、たたむべきだとも申し上げません。
ただ、決断とは別に、記録は残せます。手を合わせる場所がなくなることと、その人がいた記録が消えることは、同じではありません。
記録できる期間
撤去のあとでは、できません。
墓石の記録は、やり直しがきかない種類の作業です。撤去された石は破砕され、刻まれた文字はその時点で失われます。
- 戸籍より前が、書かれていることがあります
- 戸籍でさかのぼれるのは、多くの家で明治のはじめごろまでです。墓石にはそれより前に生まれた人が刻まれていることがあり、その場合、石が唯一の手がかりになります。
- 写真では、読み取れません
- 手元のお写真に墓石が写っていても、刻字が判読できる角度と解像度で撮られていることはほとんどありません。斜光を待ち、面ごとに寄るなど、読み取りを前提とした撮影が要ります。
- 日程が決まってからでは、慌ただしくなります
- 撤去の日程が決まってからのご相談も承りますが、天候の予備日を含めるとお伺いできる日が限られます。見積りの段階でご相談いただくのが確実です。
記録の範囲
記録するのは、その一基だけです。
墓地は、他家のお墓が隣り合って並ぶ場所です。同意をいただいた一基の外側には、記録を広げません。
記録するもの
- 墓石の全体および各面の写真
- 刻まれた文字の書き起こし(戒名・俗名・没年月日・建立年)
- 所在地(告示にもとづく現在の地名。区画番号までは記録しません)
- 撤去の年月日
記録しないもの
- 隣接する他家の墓石
- 墓所の全景のうち、他家が判別できる範囲
- 墓地における個々の家の帰属に関する情報
撮影にあたっては、隣接する他家の墓石が写り込まないよう画角を調整し、やむを得ず入る場合は文字が判読できない処理を施したうえで保存します。
費用
費用とお申し込み
記録の作成と、その後の保管にかかる費用です。保管に追加の費用はいただきません。
お見積りをお出しします
費用は、お墓の基数と所在地によって変わります。撤去のご予定日とお墓の所在をお知らせいただければ、費用と伺える日程をあわせてお伝えします。
お見積りの段階でのお断りに、費用はかかりません。保管に追加の費用をいただくこともありません。
ご相談から保存まで
お引き受けの流れ
- 01
ご相談
撤去の予定日と、お墓の所在をお知らせください。祭祀を承継されている方からのご連絡をお願いしています。日程が決まる前のご相談でも構いません。
- 02
お見積り
基数と所在地をもとに、費用と伺える日程をお伝えします。この時点でのお断りに費用はかかりません。
- 03
同意の確認
記録する範囲と、記録したものの取り扱いについてご説明し、書面で同意をいただきます。保存の範囲は選んでいただけます。
- 04
記録
撤去の前に現地へ伺い、撮影と書き起こしを行います。所要はおよそ半日です。立ち会いは任意です。
- 05
お渡しと保存
記録一式をご家族にお渡しします。あわせて、ご同意の範囲で永久保存の対象に加えます。同意はあとから撤回できます。
同意について
何に使うかを、先にお示しします。
記録のご依頼と、記録したものの取り扱いに関する同意は、そのお墓の祭祀を承継されている方からいただきます。ご親族のどなたからでもお受けする形にはしていません。お墓は複数の家族にまたがる場合があり、承継者以外の判断で記録が残ることは避ける必要があるためです。
用途は、お申し込みの時点ですべてお示しします。あとから使いみちを増やすことはしません。それぞれについて、選んでいただけます。
- ご家族へのお渡し記録の目的
- 記録一式をご依頼者にお渡しします。この用途は記録の目的そのものであり、選択の対象ではありません。
- 永久保存選択できます
- この法人が複製を保管し続けます。ご家族の手元から失われたあとでも、ご子孫の求めに応じてお渡しできる状態を保ちます。保管に費用はいただきません。
- 統計への利用選択できます
- 年代の分布や地域ごとの件数といった集計に用います。集計の単位は全国および広域に限り、個別の記録を公表することはありません。
- 研究への提供選択できます
- 外部委員を含む倫理審査委員会の承認を得た研究に限り、閲覧を認めます。承認のない利用は認めません。
- 将来の照会への対応選択できます
- ご子孫やご親族から照会があった際に、記録の存在をお伝えできるようにします。照会に応じるのは、ご本人・ご親族、およびその委任を受けた方に限ります。
用途にかかわらず、扱わないもの
- ご家族から伺った口述(由来・言い伝え・供養の経緯)
- 墓地内の区画番号
- 同意をいただいていない他家に関する一切の情報
同意はいつでも撤回できます。撤回された場合、当協会は保管している複製を速やかに削除します。ご家族にお渡しした記録は、そのままお手元に残ります。
永久保存
預かり続けることを、約束します。

記録は、つくった時点ではなく、数十年先まで残って初めて意味を持ちます。ご家族の手元から失われたあとでも、ご子孫の求めに応じてお渡しできる状態を保ちます。
当協会が一般社団法人であることは、この約束の前提です。事業の売却や清算によって預かったものの行き先が変わることのない形を選んでいます。保管に追加の費用はいただきません。
よくあるご質問
よくあるご質問
- 撤去の日程が迫っています。間に合いますか。
- ご相談からお伺いまで、最短で1週間程度です。日程が差し迫っている場合は、その旨をお知らせください。優先して調整します。
- 遠方にあるお墓でも依頼できますか。
- 全国からご相談を承っています。出張料はいただかず、交通費の実費のみを頂戴します。所在地によっては、伺える日程が限られる場合があります。
- 文字が風化して読めない場合はどうなりますか。
- 読み取れた範囲を記録し、判読できなかった箇所は「判読不能」として、推測で補わずに残します。あとから別の資料と照合できるよう、写真は最大解像度で保存します。
- 記録したものは、誰かに公開されますか。
- 同意をいただかない限り、公開も第三者への提供も行いません。保存の同意をいただいた場合も、公開するのは統計的な情報のみで、個別の記録を公開することはありません。
- 永久保存とは、具体的に何をするのですか。
- 記録の複製を、この法人が保管し続けます。ご家族の手元から失われたあとでも、ご子孫の求めに応じてお渡しできる状態を保ちます。保管に追加の費用はいただきません。
- まだ墓じまいをするか迷っています。
- どちらを選ばれるかについて、私たちから申し上げることはありません。記録は、たたむと決めた場合にのみ必要になるものです。決まってからで間に合います。
石材店・墓じまい代行の皆さまへ
施工の前に、記録という選択肢を。
撤去のご依頼を受けた際に、記録という選択肢をご家族にお伝えいただける形での提携を承っています。
撤去の日程が決まってからでは間に合わないことがあります。お見積りの段階でご案内いただけると、ご家族が落ち着いて判断できます。
ご紹介にあたっての手数料は、お支払いもお受け取りもいたしません。金銭のやり取りを挟むと、ご家族にとって必要かどうかではなく、紹介する側の都合で勧められる余地が生まれるためです。ご案内用の資料、同意書の様式、撮影範囲の考え方をまとめたものを無償でお送りします。
お問い合わせフォームの「墓じまい記録について」からご連絡ください。