一般社団法人日本家系図制作士協会

研究・倫理・規格

たどり方そのものを、整える。

家系の記録から何が分かるのかを研究し、どう扱うべきかを定め、どう書き残すかの形式を整える。この3つを同じ組織の仕事として引き受けます。

倫理方針

家系をたどるときに、守ること。

家系図の作成と系譜の調査にあたって守るべき事柄を定めています。この方針は公開文書であり、どなたでも参照・引用いただけます。

  1. 01

    事実と推定を分けて書く

    一次史料で確認できた事柄と、そこから推し量った事柄を、記述の上で区別します。この区別があることで、後の世代がその記録を検証し、続きを書き足せるようになります。

  2. 02

    すべての家の記録を等しく扱う

    記録の価値は、そこに書かれた人が何を成したかで変わりません。名を残さなかった人々の記録を、同じ精度と同じ敬意をもって扱います。

  3. 03

    本人の意思にもとづいて調べる

    調査は、その記録に連なるご本人またはご家族の依頼にもとづいて行います。第三者の求めに応じて他人の出自を調べることは行いません。

  4. 04

    機械の読みは、人が確認する

    刻まれた文字の読み取りや系譜の記述に機械の補助を用いる場合、その出力をそのまま記録としません。人が原本に当たって確認し、機械を用いたことと確認の有無を記録に残します。読み取れなかった箇所は、推測で補わずに残します。

  5. 05

    DNA検査の前に説明する

    遺伝子検査は、本人が知ることを想定していなかった事実を明らかにすることがあります。検査に先立ち、何が分かり得るかを説明し、受けるかどうかをご本人が決められるようにします。

最終改定:2026-07-29

倫理審査委員会

外部の目を、先に通す。

家系の記録を用いる研究は、外部委員を含む委員会が事前に可否を判断します。当協会の内部だけで決めない仕組みにすることで、研究そのものの信頼性を担保します。

事前の審査
データセットを用いる研究は、着手の前に委員会の承認を得ることを必須とします。承認のない利用は認めません。
外部委員の関与
歴史学・人権・法務の分野から外部委員を迎えます。内部の判断だけで承認できる構成にしません。
審査結果の公開
承認した研究の題目と審査の結論を公開します。何を通し、何を通さなかったかを外から確認できる状態にします。

委員会の設置は準備を進めている段階です。委員が確定した時点で、氏名と所属を含む構成をこのページに掲載します。

研究用データセット

匿名化だけでは、守れません。

家系の記録は、構造そのものが個人を指し示します。生年代・きょうだいの人数・地域を組み合わせれば、氏名を伏せても人が定まってしまう。一般的な匿名化の手法が効きにくい領域です。

そのため「匿名化したので自由に使える」という扱いはしません。提供者の同意と委員会の承認を前提に、公表は統計値に限る運用とします。

  • 研究用データセットは、提供者の同意にもとづいて構築します
  • 委員会の承認を得た研究に限り、閲覧を認めます
  • 公表するのは統計値のみとし、個々の記録は公表しません
  • 集計の単位は全国および広域に限り、地域を特定できる粒度では扱いません

記述形式の標準

持ち出せる形で、書き残す。

家系の記録は、特定のサービスの中だけで読める形にしてはいけません。数十年単位で残す記録である以上、提供元がなくなっても読み継げる必要があります。

記録の本体は、翻刻ではなく「原本と、その時点での読み」です。原本さえ残っていれば、読みが誤っていても将来やり直せます。原本のない翻刻は、誤りが混入した時点で永久に訂正できません。以下の4原則は、この一点から導かれています。

  1. 01

    事実と推定を、分けて書く

    一次史料で確認できた事柄と、そこから推し量った事柄を、同じ欄に混ぜません。推定は推定として、根拠とともに別に記録します。

  2. 02

    読めなかったものを、埋めない

    判読できなかった文字は「判読不能」として残します。文脈から補って埋めた一文字が、家系図に転記されたあと訂正されることはありません。

  3. 03

    原本を、必ず伴わせる

    翻刻には、その根拠となった写真を最大解像度で添えます。読みが誤っていても、原本があれば後から正せます。原本のない翻刻は、記録として不完全なものとして扱います。

  4. 04

    機械が読んだことを、隠さない

    読み取りに機械の補助を用いた場合、その旨と、人が確認したかどうかを記録に残します。あとから読み直すときに、どこを疑うべきかが分かるようにするためです。

墓石の記録

撤去される前の墓石を記録する際の項目です。所在は現在の地名で記録し、墓地内の区画番号は記録しません。区画は個人の特定に直結するためです。

項目必須備考
記録識別子必須この法人が発行する一意の番号
所在(現在の地名)必須告示にもとづく市区町村まで。区画番号は含めない
撤去の年月日任意判明している場合。予定日でも可
石塔の種類任意和型・洋型・五輪塔など
建立年任意刻まれている場合。和暦の原表記と西暦を併記
面ごとの原文必須刻まれているとおりに記す。改行位置も保つ
読み下し任意原文とは別の欄に置く。原文の書き換えはしない
判読不能箇所必須位置と文字数を記す。空欄にしない
被記載者必須戒名・俗名・没年月日・享年・続柄。判明した分のみ
写真必須面ごと。最大解像度。撮影日を伴う
撮影の経路必須立会撮影 / 自己送付 のいずれか
読みの由来必須人の読み / 機械の下書きを人が確認 のいずれか
確信度任意機械の補助を用いた場合、低い箇所を明示する

家系の記録

国際的にはGEDCOMという形式がありますが、日本の戸籍が持つ概念を十分に表現できません。以下は、そこを補うために定める項目です。既存の形式との対応づけもあわせて示します。

項目必須備考
和暦の原表記必須西暦に変換した値とは別に、原表記をそのまま保持する
続柄の原表記必須戸籍上の表記をそのまま保つ。現代語に置き換えない
養子縁組の類型任意養子・婿養子・養女など。GEDCOMのADOPだけでは区別できない
分家・廃家・絶家任意家を単位とする概念。個人を単位とする形式では表現できない
本籍の変遷任意転籍の履歴。地名は告示にもとづき現在の表記を併記
出典必須戸籍の種別と発行自治体、または墓石記録の識別子
確認の状態必須一次史料で確認 / 推定 のいずれか

この標準は無償で公開します。準拠しているかどうかを当協会が審査して事業者に許諾を与える仕組みは設けません。標準の価値は、誰でも使えることにあります。

版:0.12026-07-29

利益相反の開示

関係を先に書いておきます。

TADOROOTS および ROOTS MAP は、株式会社viviandkikiが提供する家系図制作・記録のサービスです。TADORU CAMPUS は、同社から商標の使用許諾を受けて運営しています。代表理事は同社の役員を兼ねています。

事業で得た収入は、活動の原資に充てます。剰余金を分配することはありません。家系図の制作やルーツ調査を受注することはなく、依頼先の斡旋も行いません。

この方針に反する事実にお気づきの場合は、どなたでも申し立てられます。ご連絡は k.ogino@viviandkiki.com まで。

参照している国際的な基準

Association of Professional Genealogists(APG)
米国に本部を置く系譜調査専門家の国際的な会員組織。代表理事が加盟しています。

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データセットの利用、記述形式の策定への参加についてご相談を承っています。